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いまのインターネットの専用線は固定課金です。
逆にいえば、今後インターネットのようなコンピュータ・ネットワークが発展していくためには、通信細は固定課金のものが発展しなければいけないということです。
ただし、それは、既存の通信網のようなクオリティは必要としない。
こういうことが、通信のインフラストラクチャーに対するインターネットからの要求になっています。
インターネットの仕組み個々の信頼性と全体の強敏さ具体的にいえば、ひとつひとつのネットワークというのは、クオリティは低くてもよい。
あるときは、不通になってもかまわないという考え方をインターネットはもっています。
設備コストはあまりかける必要がないので、どんどん新しい線を敷設しやすい。
こうしてインターネットはどんどん広がっていくわけです。
故障の少ないネットワークも、多いネットワークもありますが、故障の多いネットワークでも、うまく動いているときがあるのです。
それは、エラーをしているときが多いかもしれませんし、エラーの率も高いかもしれません。
しかしながら、あるネットワークがエラーを起こしたときは、ほかを迂回して行けばよいのがインターネットです。
個々では「信頼性が低い」ネットワークでも、多数が複雑に絡み合って全体のネットワークを集合したときにはたいへんな強靭さをもつわけです。
実際、湾岸戦争のときにアメリカ軍で最後まで残ったのは、インターネット・プロトコルを使ったコミュニケーションだったのです。
これを知った総司令官のシュワルツコフが、こういう通信網の技術を、アメリカでつくって輸出しているというのは軍事上問題があるというコメントを出したことがあります。
このとき、インターネットのグループは大あわてで、インターネットの国際会議にキーノート・スピーカーとしてシュワルツコフを呼んで、これに対する誤解を解くために努力をしたことがあります。
また、コストがかからないということから、巨大な投資や国の支援を期待する必要がない。
ということになりますと、自由競争のなかでさまざまな通信インフラストラクチャーが発展してくるようになります。
これが、クリントン政権などが情報インフラストラクチャーの政策を打ち出すとき、あるいは、GII(グローバル・インフォメーション・インフラストラクチャー)の構想を打ち出すときに、インターネットを参考にしているひとつの根拠です。
つまり、自由経済社会のなかで自由競争をしながら、―方で世界普遍的なサービスを提供するような仕組みをつくれるかどうかというのは、自由経済社会におけるひとつの重大な課題だったと思いますが、インターネットはその方面でも、新しい世界を切り拓いたと言えるのです。
インターネットはたいへん簡単な技術であるインターネットのデザインのなかで、もう一つ重要な概念があります。
それはインターネットの仕組みというのは非常に単純でなければならないということなのです。
インターネットの仕組み既存のデータ通信がしてきたさまざまな制御を、両端のコンピュータでこなす、というとそれはたいへん複雑な仕組みと思われるかもしれませんが、そうではないのです。
少し技術的に深入りした話になりますが、インターネットで、あるコンピュータから出発したデータが、どのように相手のコンピュータに届くかを考えてみます。
ここでまた鉄道のモデルを思い出してください。
まず、ある駅から出発したデータは最初にどこの駅で乗り換えればよいかということを調べますが、駅(コンピュータ)には、目的地(データにつけられた宛名)を見て、目的地にいくための乗換駅がどこかを調べるための鉄道路線図があります。
これをインターネットの言薬では、経路制御情報と言います。
この路線図(経路制御情報)を参照することで、乗換駅を見つけ出し、その乗換駅に行くためにはどの線に乗ればよいかもわかります。
こうして駅(コンピュータ)では、そのデータを正しいホームに案内して、送り出します。
さて、乗換駅に着いたデータに対して、乗換駅はその行く先を聞き、その駅での路線図(経路制御情報)と対照し、次の乗換駅を教え、そこへ通じる路線のホームに案内して、送り出します。
これを繰り返して、途中で使える路線がすべて運休だったとか、事故にあって失われたりしない限り、データは目的地の駅まで着くわけです。
各駅は乗り換えを案内するだけであって、最終目的地まで付き添うような面倒は見ない、そのような仕組みなのです。
これが、先ほど少しふれたインターネット・プロトコル(IP)がしている作業です。
この作業をもう一度整理してみます。
インターネットにつながっている各コンピュータは、まず、(最新版の)経路制御情報をもっていなければいけません。
そして、送られてきたデータの宛名を見て、経路制御情報と照らし合わせ、そのデータをどの線を使ってどの乗換コンピュータまで届けるかを決定します。
実はもうひとつ、実際の鉄道ではしていない、重要なことをしています。
それは、各データにあらかじめ与えられている「寿命数」を各乗換駅で「―」だけ減らすという作業です。
これは、なにかのはずみで迷子になったデータが、いつまでもネットワークのなかに存在し続けないようにするためです。
それは迷子データを放置しておくと、さまようデータか増えていって、やがてネットワークがパンクしてしまうからです。
いずれにせよ、各コンピュータがしているのは、かなり単純な作業です。
各駅に、既存のデータ通信がやっている信頼性のための処理をさせたら、とてもではありませんが、インタインターネットの仕組みーネットはうまく機能しないでしょう。
それはちょうど、乗換駅でいちいち乗客が最初にどこから鉄道に乗ったのか、乗った通りの順番で降りてきたかとか、その後きちんと最終目的地に着いたのかをチェックせよ、というようなもので、そんなことをしたら、乗換駅は大混雑でたちまち麻痺してしまうようなことが起こるわけです。
結局、インターネットの哲学―すなわち両端のコンピュータがすべてをする―は、逆にいえば、乗換駅にはできるだけ何もさせないようにしようということです。
このことが、インターネットのスケールをどんどん広げていくための大きな基本なのです。
つながるネットワークが増えても、データが増えても、途中のコンピュータの負担は最小限にしたい。
それによって、池袋や新宿のような混雑しがちな乗換駅にあたるコンピュータがうまく機能し続けるのです。
マルチメディア通信との矛盾実は先ほど少しふれた、ビデオの通信をどうするかということも、乗換駅にどれくらいの作業をさせるかという問題に関わっているのです。
一秒間に三〇枚の画面を厳密に送ろうとすると、データは、順序が狂うことも欠けることもなく、やはり一秒間に三〇枚送られねばなりません。
これをインターネットで実現しようとすると、各乗換駅でそのようなデータだけを選別して優先的に通すという処理が必要となります。
こういうことは「リザベーション・プロトコル」という手続きを決めることで可能になります。
これはいま大いに期待されているのですが、―方では乗換駅の負担をふやしてしまうという矛盾をもっています。
さて、それはともかく、これまでインターネットのエンジニアは、各コンピュータが途中の「乗換駅」として実行すべきプログラムについては、使用メモリーを一ビットでも減らして、ワンステップでも少ないプログラムをつくろうと努力しています。
プログラムが単純であることは、二つのよい結果をもたらします。

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